発達障害 発達障害、HSP等

【検査のきっかけ】発達障害かも…と悩んでいる人へ

ここでは僕を例に出して発達障害当事者の生活やどう診断を受けたらいいかなどについてお話をしていこうと思います。

発達障害についての解説というよりは”ひとりの障害者について”に焦点を当てた形になります。

このテーマはなにも当事者とその家族だけに関係することではないと僕は思っていて…

というのは僕自身、発達障害だと分かったのは30代になってからだからです。先天性のものなのに気づかないまま社会で生きづらい想いをしている。けれども「自分のせい」とか「自分の弱さ」として収めてしまっている人が世の中にはたくさんいると思います。

それだけ自分で思い立って病院に行く判断は難しいのではないでしょうか。どこからが、病院で診断され社会保障を受けるラインなのかも分からないし、もし違うとなったときは「やはり自分が弱いだけか…」と考えてしまったりしてよりショックが大きい。そして、風邪でもなんでもないということでまた辛い日々がはじまる。

このようにまだ日本では発達障害は軽視されがちです。

ここではそんな”発達障害予備軍”の人にも、どのようなきっかけで病院に行ったらいいか、検査結果を受けるまでにどのようなプロセスがあるかなども書いていきたいと思います。

ただの自分の弱さと悩んでいる人たちにできるだけ伝わってほしいです。

3つの発達障害

3つの発達障害のひとつ、ASDの『学校で周りに馴染めない』特性

まずは発達障害について軽く説明を

下の画像は発達障害の特性と種類を表した図になります。

3つの発達障害の特徴①
婦人公論.jp
3つの発達障害の関係図
G-SUPPORT

※画像は拡大表示できます。

右の画像の円が表す通り、発達障害というのはどれか1つだけということは稀で、むしろ3つのうちの2つ以上の特性を抱えているケースが大半

僕も検査結果として【診断:ASD】【傾向:ADHD】とでました。SNSなんかで意見を見ていても『ハッキリどれかひとつの特性だけ』という人は希な気がします。

自分自身の感覚を当てはめてみてもASDの方はバッチリ全部の要素が入っていたので納得でした。

だけど、ADHDはどちらかというと忘れ物をしがちという”注意欠陥”の特性が強く出ていて、それ以外の多動性や衝動性はそれほどです。子供の頃を思い出してみると落ち着きもなかった時期もあるような気がしますが、大人になってその要素はほとんどなくなっていたので、ADHDに関しては診断名がつかなくても逆に納得。

しかし、忘れ物に関しては学生の頃から本当に多く、大人になってからもどれだけ注意や意識をしていてもちょっとした刺激や出来事で忘れてしまうので、この”傾向がある”という検査結果にも妙に納得のいった記憶があります。

画像を見て「自分はもしかしたら…」と感じる方がいたら精神科の病院や心療内科のクリニックなどに相談してみてもいいかもしれません。

ASDについて

ASDとは発達障害のひとつで、言葉の意味は『自閉スペクトラム症』の頭文字(Autism Spectrum Disorder)をとったものです。

女性より男性の方が多く、100人中2~5人くらいの割合で発達障害は存在します。

最近の調査では子どものおよそ20~50人に1人が自閉スペクトラム症と診断されるともいわれています。男性に多くみられ、女性の約2~4倍という報告があります。

すまいるナビゲーター

それぞれの単語の意味

  • Autism=自閉症
  • Autism=そのままカタカナ英語として光学で用いられたり、目の残像、連動帯、範囲などの意味がある。【例文:a wide spectrum of interests (広範囲の趣味)】
  • Disorder=無秩序、混乱、騒動、疾患、障害、病気、不調

元々はアスペルガー症候群とも呼ばれていましたが、2013年にASD(自閉スペクトラム症)に統一されました。

ですが、どれかの呼び名は書店などで目にしたことがあるのではないでしょうか

支援学級に通わなかった幼少期

ASDは学校で支援学級に入る対象かは微妙なラインです。文部科学省が定める支援学級の対象となる基準はこちら

  1. 言語障害者
  2. 自閉症者
  3. 情緒障害者
  4. 弱視者
  5. 難聴者
  6. 学習障害者
  7. 注意欠陥多動性障害者
  8. その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの
「障害に応じた通級による指導の手引 解説とQ&A(改訂第3版)」(文部科学省 編著)より抜粋

ちなみに僕は普通のクラスに振り分けられていました。でも、今思い返してみてもどちらがよかったのかは分かりません。

勉強も得意なわけではないけれど周りに追いつけないレベルでもなくて、友達も多くはないけれどいないわけでもないと言った感じ。

普通のクラスだと限りなく劣等生になり、特にコミュニケーションに関して苦しい想いをし続けていました。けれど、支援学級に通う必要があったかというとそれも違う気もしていて…願わくば

普通クラスと支援学級の間のクラスがあったらなぁ…

なんて思うほどなので、もはや解決のしようのない問題。支援学級に通っていても自分の人生に良い影響があったのかどうかもわかりません。

僕のように検査の結果、IQが人並みかちょっと下ぐらいの発達障害だといろんな線引きが難しくなります。自分や家族も気づかないまま社会人になって生きづらさを感じている、そんな人たちがたくさんいると感じています。

ASDには特性を抑える薬がない

同じ発達障害でもADHDには薬があり、ASDには特性を抑える薬がありません。

ADHDに関する薬は以下の通り

薬の名前作用
コンサータ
/メチリド
/リタリン
脳内にあるドーパミンとノルアドレナリンの神経伝達物質の量を増やすことで、集中力や注意力を高め、衝動性を抑える
ストラテラ
/アトモキセチン
脳内にあるノルアドレナリンの神経伝達物質の量を増やすことで、集中力や注意力を高め、衝動性を抑える
インチュニブ
/グアンファシン
脳内にあるα2Aアドレナリン受容体を刺激することで、集中力や注意力を高め、衝動性を抑える

このようにADHDには日常の忘れ物や物忘れを防止したり、思いついたまま行動するような計画性のなさをカバーする効果のある薬が複数あります。

一方、ASDの特性に対する薬は現在、開発に向けて研究中の段階です。

ASDの最も特徴的な特性は「コミュニケーションの困難」です。
この改善のために脳内ホルモンのひとつであるオキシトシンが効果的なのではないか、という説が提唱されており、オキシトシンを経鼻スプレーで投与することで社会性が向上するかどうかという臨床試験が行われています

発達障害、ギフテッド専門のプロ家庭教師メガジュン

もし幼少期に発達障害だったことが分かっていて薬も服用していたらどんな人生だったか…と思うとやるせない。そのくらいコミュニケーションに関しては悔しくてもどかしい想いがたくさんあります。

そんな「もしも」は言っても仕方がない。過去のことを振り返るよりこれからどうしていくかを考えたい。

せめて、世の中がもっと多様性が広がってほしい。そして、発達障害に関しても認知が広がって配慮が一般的になっていってくれたらなって思います。そうすれば薬の開発を待つ必要はなくなる訳なので。

病院へ行くきっかけ

発達障害の検査をしている精神病院

ここからは僕のように「自分も発達障害かも…」と思い悩んでいる人たちに向けて、僕の実体験を書いていきたいと思います。

僕もそれまで発達障害の検査ができるような大きい精神病院にお世話になったことがなかったため、自己判断だけで病院に行くのはどうなのか、もし「あなたの気のせいです」みたいな言葉を言われたらどうしよう…という人は多いはず。

そんな人たちのために少しでも参考になれば

一回目の検査

実はまだ定職に就いているときに一回、病院に検査をしにいったことがあります。それは元々思い悩んでいた~

もしかして自分は発達障害かも…

という内なるものを確かめるために精神科へ行くことを決断しました。

結果から言うと発達障害の診断はおりませんでした。正確に言うと

かいとさんは発達障害とも言えるしそうでないとも言えます。

病院の先生
病院の先生

という、とてもハッキリしない答えが返ってきてしまったのです。でも、実はこれは自分に原因があるところが合って…

検査の名前は忘れましたが、『家族や周りの人にあなたのことを答えて貰う、「はい」「いいえ」「どちらでもない」の三択がある120問くらいの質問』がある検査でした。

当時の僕は社会性不安障害の理解がない両親と上手くいっておらず、協力を仰ぐことができませんでした。なので、本当に良くないのですが、”家族や周りの人”にしてもらうはずの検査を自分で回答して提出しまったのです。

自業自得としか言えないのですが、「どちらとも言えない」という診断に落胆しました。違うなら違うとハッキリ言ってほしかった。それならいっそ自分のダメな部分を割り切れたり、他のアプローチを考えられたりしたのにまだ可能性を残してしまって、しかもそれは自分のせいで実際はどうなのかと言うところが漠然としてしまった。

病院へ行く決断もそうだし、検査自体も上の120問のやつの他にいろいろやりました。金額も診断結果が出るまでの期間もそれなりに掛かってこの結果。『自分の労力と決断とかけた金額』に対して結果が見合ってなさ過ぎて当時は本当にきつかった。

精神疾患に対する親の価値観

それでもこのパターンは僕だけではないケースがあるんじゃないかという気がしています。

と言うのは、発達障害というものに対して親御さんの理解が得られないことが多いためです。

精神疾患に対しての理解は未だに広まっていないのが現状。相談されたり、診断されたことを親に言っても「よく解らない」で終わってしまう家庭がほとんどだと思います。

だからこそ、親に内緒で検査をして、いざ親の協力が必要になっても頼れない…と言う人も数多くいるはずです。

でも、そんな僕でもハッキリした検査結果を受けることができました。これは二回目の検査に繋がっていきます。

二回目の検査

二回目の検査は当時通っていた就労移行型事業所の人のすすめで受けることになりました。前回の検査から5年後と言ったところでしょうか?事業所の人から見て思い当たることがあったのだと思います。

実は一度検査を受けたことがあって…

と言うことを伝えても、検査をした方が良いと強く勧められて2回目の検査をすることに

僕は当然『労力に見合ってない結果』を経験しているので嫌でした。

またお金をかけて、大変な検査までしてハッキリしない結果を聞く羽目になるのか…

という、半ば諦めたような感じで、数多くの検査をした上で検査結果を待っていました。

どころが、今回の結果は一回目と違っていて…ASDという発達障害だと診断されることになります。

発達障害じゃないと診断されても

二回目の検査では一回目でやった『自分以外がやる120問の検査』はありませんでした。今回の検査はぜんぶ自分でやるものだったのでより正確な診断が降りた結果がASDということだったので、自分の思い当たる部分と併せてこれが本当の結果だった気がしています。

正直、一回目と二回目で違う検査をしたのはなぜなのか、どのような基準でやる検査を変えているのか、タイミングが違っただけなのかなどは分かりません。

ただ、ひとつ言えるのは『自分だけで検査することを決めない』ということ。

僕のように親に協力できない人でも事業所の人など”自分を見ていてくれる人”を必ず経由してほしいです。もちろん、検査することをその人たちに相談してみてもいいと思います。

そうは言っても

自分は果たして事業所へ通ってもいい人間なのか…

と、働きづらさ、生きづらさを感じていても悩んじゃう人は多いと思います。

就労移行型などの事業所に通うには以下の条件に当てはまっている必要があります。

  • 身体障害、知的障害(知的発達症)、精神障害、発達障害、難病のある方(※1)
  • 18歳以上65歳未満の方(※2)
  • 一般企業などへ就職したいと考えている方/休職中の方(※3)

(※1)難病のある方について:障害福祉サービスなどの対象となるもの(就労移行支援も含む)は366疾病(令和3年11月時点)です。

(※2)65歳に達する前5年間障害福祉サービスを利用された方で、65歳に達する前日において就労移行支援を利用されていた方は引き続き利用することは可能です。また18歳未満の方でも、児童相談所長や自治体の判断によっては利用と認められる場合もあります。

(※3)休職の方においては、一定の条件を満たされた場合に利用が可能です。

LITALICOワークス【就労移行支援の対象者や利用条件は?障害者手帳なしでも受けられる?】

一定の条件があるとは言え、気になったらお近くの事業所へ相談してみてもいいでしょう。LITALICOワークスのサイトにも

ご自身が就労移行支援を利用できるのかどうか気になる方は、ぜひLITALICOワークスまでお気軽にご相談ください。

LITALICOワークス【就労移行支援の対象者や利用条件は?障害者手帳なしでも受けられる?】

と書いてあるので安心です。

このように”自分を見ていてくれる人”を作ることで僕のようにただ悩んだり、勇気を出して検査を受けたのに残念な気持ちになる可能性はグッと減るはずです。

僕も当時は社会性不安障害という疾患名で事業所へ通うための『受給者証』は発行して貰えました。社会性不安障害は心療内科のクリニックで診断されたものです。

発達障害の検査は大きい病院でしかやっていないことが多いです。しかし、クリニックはその規模から大病院よりは行きやすい雰囲気があります。働くこと、生きることが辛いと感じたらまずは心療内科などのクリニックを受診してみるのもいいかもしれません。

発達障害は二次障害として鬱や不安障害を煩うこともあるくらいです。なので、クリニックを受診してみるという決断もその後の事業所への良いきっかけになると思います。

まとめ:一人でも多くの人を救いたい

近年は多様性やSDGsが叫ばれ、発達障害の認知も広がってきました。

それでもまだまだ自分がそうだと気づかず、辛い生活を送っている人はたくさんいます。

検査したからって変わるものじゃない。と思っている人もいるかもしれません。しかし、自分がそうだと気づくかどうかってすごく大きいです。周りの状況が変わってなくても心がスッキリして前向きになれます。

発達障害は人類の劣等生じゃないです。できないところを認めて個性を伸ばせばきっと大成できます。

この記事がそのような人たちのモヤモヤしたものを取り除いて充実した生活が送れるきっかけになったら良いなと思います。

-発達障害, 発達障害、HSP等
-, , ,