ひょんなことから彼女と見ることになったこの映画
前情報は「刑事もの」と「津玄師が主題歌うたってる」ということ。それと「アンナチュラル」「MIU404」二つのドラマのコラボっぽくなってるらしいけど2つとも見ていないので本当にほとんど知識がない状態でみることに。
いま思いだしてもなんで見ることになったのかよく分からないくらいだけど、結果として見てよかった。
邦画で映画館見に行って当たりだったのっていつ以来?いや、その前に実写邦画を映画館に見に行ったのがいつ以来だろうってくらい久しぶりだったけど今までにない構成で展開が気になるけど分からなくてワクワクが途切れない、いい映画でした。
そんなラストマイルをレビュー。面白かったのでほんのりネタバレしながら考察もしています。(ネタバレ部分は目次に表記)
どんな人にオススメか
このラストマイル。冒頭で”前情報がない状態で観た”って言いました。その状態で面白いってことはストーリーがいいってこと。
詳しくは後述しますが、この映画は誰が目立つとか出番が多とかってことはないのでアンナチュラルやMIU404のストーリーが好きとか、どの俳優さんが好きって目的で観るとそれぞれの出番がそれほどじゃなくてガッカリするかも
だからこそ、普段テレビを観なかったり、芸能人に興味ない人の方が満足度は高いと思います。
以下、概要ネタバレするので後述⇒現代社会に対する風刺へ
キャスト
監督 | ラストマイル | アンナチュラル | MIU404 |
---|---|---|---|
塚原あゆ子 | 満島ひかり 、岡田将生 ディーン・フジオカ、大倉孝二、酒向芳、宇野祥平 、安藤玉恵、 丸山智己、火野正平、阿部サダヲ | 石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、竜星涼、 飯尾和樹(ずん)、 薬師丸ひろ子、松重豊 | 綾野剛、星野源、橋本じゅん、 前田旺志郎、麻生久美子 |
あらすじ
こちらがラストマイルのあらすじ
なんだかサスペンスもの?事件を解決していく系で刑事が主役なのかなって思います。
でも、映画ポスターなどでトップにでている主役は刑事じゃない。
これ、僕と彼女はこのあらすじすら知らない状態で観たのですが、むしろ知らない方が面白く観れるくらい”誰が主役なのかいい意味で分からない”構成になっています。
僕のイメージする邦画って事務所の推したいタレントと映画の間の都合で演技上手くない人が主役になるから、別に演技が上手くないその人の映画ってその人のファン以外は面白く観れないって感じがあって…
完全に偏見なんですが、そんな先入観もあって敬遠していたから邦画は映画館で観ていなかったりしました。
でも、この映画は違った。刑事ものに見せかけて刑事役の人の出番ばかりじゃないし、主演の満島ひかりばかりって訳でもない。
このバランスがすごくよくて楽しかった。この先はそんな映画楽しかった部分を深掘り
映画のここがよかった!
ここからは映画を観てどうよかったか、他の映画とどう違うかを語っていきたいと思います。
キャストの出番のバランスがいい
この映画、2つのドラマが関わってるのもあって主役級の人がたくさんいます。
ふつうに考えたら誰をプッシュしたいのか、出番を多くしたい人だらけで映画自体も面白くなくなっちゃう気もします。
けど、この映画にそんな面影はなく、主演の満島ひかりが少し出番多めと感じるくらい。
普段、脇役としてドラマで観ている俳優さんたちの活躍のシーンがあったり映画のメッセージ性を伝える大きな役割だったり本当にすごい映画です。(見出し最初の2人の俳優さんたちも実は結構重要だったり…)
むしろ、ドラマや俳優さんのファンの人は活躍しなさすぎてガッカリしてしまうかも。逆に言えばドラマを知らなくても面白くなっているし、ドラマや俳優さん、映画の前情報がなければない方が楽しく見れる可能性が高いすらあるかと
2つのドラマを見ていればそれなりに分かることもあるみたいですが、冒頭にも書いたように僕はほぼ何も知らない状態で観て面白かったので、2つのドラマ特有のなにかが分からなくても全く問題ないです。
下の動画は小ネタなのでストーリーのネタバレではありませんが見た後の方が面白いかも?
とにかくこの映画は、事務所などの大人の事情で今までの邦画にガッカリしてきた人にもオススメできます。
どんな展開か読めない
途中まで爆破犯を捕まえる話?かと思ったらそれは二転三転していって、後半は現代社会に対する強めのメッセージ性を感じる展開へ
2つのドラマを絡ませることで、誰が軸になるのかをうまいことぼかせている。
たしかに、映画のトップ画では満島ひかりと岡田将生の2人が映っています。前情報が何もなくても映画がこの2人を中心に展開していくものだとだれもが分かる画像ですが、爆弾犯や刑事が出てきている中で2人は割と一般人的な枠でそれほど目立つポジションじゃない。それと、舟渡エレナ(満島ひかり)は途中まで事件を究明しようとするよりはセンター長として現場の仕事を優先して警察に協力的じゃなかったりする場面もあったりします。
よく、「そのポジションでそこまで事件に首突っ込むかなぁ…」なんて印象のあるドラマがあります。火サスとか大人の事情で目立たせたい人がいるとなんでもないのに超人的なひらめきや活躍をする人が主人公だったり…
ファンの人がいたら申し訳ないですが、MIU404も映画を観たあとに見てみたら僕には綾野剛を目立たせたい目的のドラマに見えました。綾野剛の縁起はいいし、カッコいいと思うけどストーリー構成は「今までにこういうドラマ見てきたなぁ」って感じのものに僕には見えました。
でも、ラストマイルにはそんなありえない予定調和がなくて、本当にそれぞれの役が意味を持ってちゃんと行動を起こす理由が描かれていて不自然なところを感じることなく素直に見れます。
映画を観てみると分かりますが、刑事が関わってくるところはMIU404のキャストじゃなくていいし、解剖医が出てくるところはアンナチュラルのキャストである必要はありません。それでも、誰が主役かぼやかすことで観ている側は話の展開がいい感じに読めない。
一見、キャストのムダ使いに見える部分も個人的にはとてもいい構成だと思ったし、この映画を好きになった大事な部分です。
現代社会に対する風刺
ストーリーの本質も現代社会に対する風刺的なテーマなのでむしろ働き過ぎの日本人なら誰でも共感するような内容
ここまでスケールの大きいテーマを2つのドラマを絡めながらお互いが邪魔することなく、誰も目立たせないから本質の部分も素直に入ってくるような構成はすごい。
映画の中に出てくる”ブラックフライデーセール”など完全に大手ネット通販サイトを意識しているので、日本で注目されれば全然世界でも受け入れられるテーマだとすら思いました。
復習劇ではなく社会に対するメッセージせいの強い映画(映画全体の展望をゆるくネタバレしています)
この映画がおもしろいと思うのは事件が起こることで物流センターの売り上げが乱高下すること。そのことで現場が混乱して、各々の会社がどう影響されるのか忠実に再現しています。
エンディングのあとに「心の相談窓口」的な案内もあるくらい、映画の中では日本の労働環境問題を取り上げています。この映画は刑事が事件を解決することや復習劇をテーマとしたものではない。
観ている側はどう展開するのか、だれが主役なのかもわからずにぼんやりと事件の全貌がハッキリしてくると共に映画全体のテーマも見えてくるから、みてる側も飽きずに最後までみていられます。
考察
ここからは映画を見終わった後に気になった部分をご紹介。
なぜ犯人はあのタイミングで自殺したのか(映画とドラマのネタバレ1)
観ていて1個分からなかったところがあって、それは
『犯人が映画冒頭に取った行動』です。
ネタバレになるので直接的な表現は避けま。気になる方はぜひ映画館に足を運んでみてください。
とにかくそのことが映画を見終わった後も気になって、犯人がとった行動について映画を見終わってから考察動画を見てみました。
こちらの動画で「罪を贖う」というキーワードが出てきて、デリフォンという目玉商品を爆発させることで彼女からデリファスへの最後通告って言ってるけど、「最後通告」と「罪を贖う」を同時にする必要があったのか。わざわざ戸籍を買ってまでする意味は?っていう疑問が残ります。
全てを見届けてから「罪を贖う」を実行してもよかったんじゃないか。数年かけて積み上げてきた計画がどうなったのか気にならないのかな?…とかいろいろ考えました。映画中ではデリファスに対する復讐心のようなものも見えていた気がするので余計に
ドラマ「アンナチュラル」の第2話2なども無理心中かと思ったら急に動機も何もない特殊性癖の愉快犯みたいな犯人が出てきて見てる方は??ってなったり…女性を凍死させた後になぜかわざわざ無理心中の場所に遺体を持って行く手間などもよくわからない。
このような疑問を持っている人は僕以外にも板みたいで過去のYahoo!知恵袋にも同じ疑問を持った人の質問がありました。
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ドラマ「アンナチュラル」第2話でわからないことがあります。犯人... - Yahoo!知恵袋
ドラマ「アンナチュラル」第2話でわからないことがあります。犯人はなぜ監禁していた三毛を冷凍トラックに入れて凍死させたのでしょうか? そもそも、あの2人を監禁して結束バンドでつないで一体何をしたかったの ...
detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
これに疑問を持っている人は僕以外にもいて、塚原あゆ子演出や監督の作品特有の「出来事が他の作品よりもう一転するストーリー」という構成上のややこしさから来る回収しきれない部分を感じたりしました。
この筧まりかの部分は映画「ラストマイル」の中のアンナチュラルのキャストの人の活躍きっかけだったりするので、出番を作りたかったのかなとか…
それでも映画全体として面白いし、よくできてる。観ていて気にはなったけど、その部分だけで作品として残念になることはないし、むしろここまで面白くするためにややこしくしたならこのくらいのほころびは許せるくらいよくできている作品だと思います。
視聴した人の声
ラストマイルを観た人のXの反応はこんな感じ。
概ね「面白かった!」という意見がほとんどでしたが、僕のように気になった部分を考察したり、その業界の人へ感謝したくなるほど考えさせられたり、俳優陣や過去のドラマのファンの方ももちろんいましたが、やはりストーリー自体が良くが引き込まれるという人が多い印象でした。
まとめ
僕はこの映画を観て2つのドラマも気になってしまったので今アンナチュラルを見始めています笑
テレビを持たなくなってドラマを見る機会がまったくといっていいほどなくなっていましたが、昔と変わっていないだろと勝手に思ってたけどそんなことはなかった。
ドラマ…というかテレビのテンポって苦手だったりするんですよね(^_^;どれだけ大事なこともスッと過ぎていって情報が追いつかなくなったり…それはアンナチュラルにもあるけどラストマイルにつながるような面白さがあるのは間違いないという感じで見ています。
誰が犯人かも分からない中で事件解決と共に本来のテーマもみえてくる非常におもしろい作品でした。