ASDはひとりの作業が得意です。ですか、ひとりが平気なわけではありません。
よくこの悩みを打ち明けると
ひとりが好きな人もいる
くらいに返されてしまいます。これは病院の先生だけではなく、話をした全ての人からこの返事が返ってきます。その度に
本当は違うんだけどなぁ…
と思いながらモヤモヤしていた人生でした。
今回はそんなコミュニケーションが苦手なASDが孤独から抜け出せたきっかけや手段のお話をしていきたいと思います。
同じ悩みを持っている方、孤独なことは武器です。なぜそうなのか。また、孤独を気にしているならそれを抜け出す方法を教えます。
特性のおさらい
この”孤独”について関係している特性は複数あるり、そのうち僕の場合はASDと、もうひとつHSPという気質が関係しています。
HSPに関しては【HSPの孤独に関する特性】で後述することにします。
これから、それらについてひとつずつ、僕の例などを交えながら解説していきます。
当事者の方、当事者の周りの方は参考になれば幸いです。そして、『必ずひとりが好きというわけではない』という正しい認識も持ってもらえたらと思います。
ASDの孤独に関する特性
ASDのひとりが好きと思われるきっかけになっているであろう特性は次の通りです。
LITALICO
- 決まった順序や道順にこだわる
- 相手や状況に自分の行動をあわせることが苦手
- 他人と目を合わせることが苦手
- 難しい言葉や表現を好んで使う
他にもASDの特性はありますが、人との関わりに関係してくる部分だけをあげるとこんな感じではないかと。
これを孤独に関する部分に当てはめるとこのようになります。
- 決まった順序や道順にこだわる ⇒ 自分のやり方を曲げない。相手に合わせられない。新しいもの、流行に乗れない
- 相手や状況に自分の行動をあわせることが苦手 ⇒ 周りがやろうとしていることに同調できない
- 他人と目を合わせることが苦手 ⇒ 話を聞いて貰えていない、会話していない印象を与えてしまう。
- 難しい言葉や表現を好んで使う ⇒ 硬い印象を相手に与え、コミュニケーションがうまくいかない
HSPの孤独に関する特性
これに関しては『HSPのどの気質が”ひとりが好き”と思われるきっかけになっているか』ではありません。
HSPという気質そのものが関係しています。HSPの特性とは簡単に羅列すると
発達障害ナビ
- 深く処理する(Depth of Processing):その場の空気や人の感情を読み取る能力に長けているため、簡単に結論の出るような物事であっても、深くさまざまな思考をめぐらせる。
- 過剰に刺激を受けやすい(Over stimulation):外部からの刺激に敏感なため、五感で受ける刺激に対して過度に反応しやすい。物音や光、食べ物の味やにおい、気候の変化等に対して敏感に反応する。
- ・感情の反応が強く、共感しやすい(Emotional response and empathy):周りの人の気持ちを敏感に感じ取り、深く共感する傾向があるため、過剰に同調するなど、相手の感情の影響を受けやすい。
- ・些細な刺激を察知する(Sensitivity to Subtleties):他の人が気づかないような物音や光、匂いなどの些細な刺激にもすぐ気づく。
この4つの気質はHSPの4大特性「DOES」と呼ばれるものです。つまりHSPをほぼ説明していると言えます。
これを孤独に関する部分に当てはめるとこのようになります。
- 深く処理する ⇒ 人といると考え、気づきすぎて疲れてしまう
- 過剰に刺激を受けやすい ⇒ 刺激を多く受け取るため人の多いところを避けたい。外より家の中がいい
- 感情の反応が強く、共感しやすい ⇒ 人といると感情が動きすぎるきっかけを作ってしまうため会う機会は控えたい
- 些細な刺激を察知する ⇒ 人と話していても周囲が気になってしまう
これらは必然的にひとりの方が楽という結論になります。
ASDは部分的に特性が関係していました。一方で、HSPは気質そのものが人との関わりと関係しています。
僕の幼少期のエピソード
ここではひとりのASDとして特に幼少期、人付き合いに関してどうだったか。どんな性格だったかをお話ししていこうと思います。
子供の頃は今以上に人間関係に苦労していた記憶があります。具体的にはこんな感じです。
- 学校の休み時間に周りが必ず誰かと話している感覚が分からない。
- 3~4人以上になると会話が聞き取れない。会話に入れない。
- 学校でも家でもひとりでなにかしていて時間が過ぎていることがよくあった。
これからひとつずつ、項目ごとにどのような経験を僕がしてきたのか詳しく解説していきたいと思います。
①学校の休み時間に周りが必ず誰かと話している感覚が分からない。
授業の間にある10~20分の休み時間がどの学校にもあると思います。
みんな授業が終わると必ず誰か友達のところに駆け寄って話を始める。友達なら当然のことだけど、不思議なのはそれがほぼ100%だったということ。
ひとりで行動する休み時間が誰かしらあっても不思議じゃないのにそれが起こらない。僕は友達と話す用事がなければ特にひとりでぼーっとしたりもしていました。
誰とも話していない人が自分ひとりな時が普通にあったりしてとても居心地が悪い感じがしていました。
②3~4人以上になると会話が聞き取れない。会話に入れない。
ASDでも友達はいました。誰かと遊んだり話したりすることが嫌いというわけではありません。
けれど、その人数が3~4人以上になると話が変わってきて…
今何の話をしているのか、次に誰が発言するのか…不思議ととテンポよく進んでいく会話に頭が追いつかず脳が疲れてしまいます。
そんな感じで大人数で遊んだり、騒いだり等は苦手で、そのような場は避けるようにしています。
③学校でも家でもひとりでなにかしていて時間が過ぎていることがよくあった。
学校でも家でもぼーっとしていたり、ひとりで何かしていて気づいたら時間が過ぎていると言うことがよくありました。
これは【ASDの孤独に関する特性】の『限られた興味、関心』の特性に当てはまるかと思います。
とにかく、興味のあることをひとりでいろいろ試したり試行錯誤するということに没頭することがよくありました。
うまく社会で生きていく上で工夫できること
これらの特性や気質を持つことで生きづらいと感じている人はたくさんいることでしょう。
もちろん親や環境のせいではありません。ましてや自分のせいでもありません。
しかし、人間である以上、許容できるものと受け入れられないものが必ずあります。
なので、ここでは自分が配慮してもらう項目と、自分が歩み寄るべき項目に分けてみたいと思います。
どこを自分で工夫してどこを配慮してもらうかを棲み分けることは次のようなメリットがあります。
- 必要以上に自分を責めなくなる
- 世の中や相手に対していたずらに不満が減る
コミュニケーションには正解がありません。なので、上手くいかないことに対して必要以上に自分を責めたり、逆に不満が募って誰かのせいにしたりしてしまいがち。
その迷いや混乱を招かないためにも『何ならお願いしても良いのか』『自分でがんばる部分はどこか』を整理しておく必要があります。
この『相手』の基準は一般的なものです。なので、リアルで関わる人に必ず当てはまるものではありません。それでも、この基準を解っているかどうかでだいぶ生きやすさは変わるでしょう。
コミュニケーションに関して相手になにかをお願いするなんて…
と抵抗のある方もいると思います。特に成人すると自立できていないような印象があり、躊躇してしまいがちです。
でも、今は多様性の時代。いろんなタイプの人がいていいし、それを受け入れてくれる人もいます。『一般的な価値観』にとらわれずに特性を受け入れてくれる人と付き合えば良いのです。
言っていいところと頑張るところの整理ができたら勇気を出してお願いしてみましょう。
配慮して貰える可能性が高いもの
人によりますが、伝えたら受け入れて貰えたり、お願いしてみてもいいのではないかという部分。
これは特性や気質の中では結構な割合を占めていると思っていて
これらをこれからひとつずつ解説していこうと思います。世の中の当たり前と照らし合わせて”それでも本来こうあるべき”という対処法を言っているので、これらの気質を持っていてい悩んでいる方の参考になれば幸いです。
DOESすべて
HSPの4つの気質『DOES』はすべて”繊細”や”敏感”というキーワードが当てはまります。当然これらの特性は自分ではどうすることもできません。
HSPの知識がなくてもひとつひとつの気質を訴えていけば受け入れてくれることが多いでしょう。
唯一、考えすぎてしまう気質に関しては
そんなに気にしないでね~
と、あまり頼りない答えが返ってきてしまうこともあるので注意。これを言われても
気質だし、そんなこと言われてもどうしていいのか…
となってしまいます。返答に傷ついてしまう恐れがあるなら部分的に言わない方が吉。その他の無理なく受け入れてくれる部分でフォローしましょう。
相手や状況に自分の行動をあわせることが苦手
僕はASDとしてひとりで行動することが好きだったりします。SNSなどを見ていても同じASDの人で同じような人をよく見かけます。
そのような人は、友達や恋人がいてもあえてひとりで食事に行ったり、誘われても気分が乗らなかったら断ったり、同調圧力なんのそのであっさりしています。
そもそも論になりますが、本来ひとりで何をしてもとがめられるべきではありません。ですが、世代によっては食事や旅行とかは”友達や家族と行くものが当たり前”というような空気があります。
カラオケの『ヒトカラ』やディズニー『シングルライダー』のようにお一人様のサービスは増えてきました。
コミュニケーションを図る上では誰かと行動を共にすることが多い方がいいのかもしれないけれど、それを強要することがあってはならないと思います。誰かにひとりで出かけることを聞かれても負い目を感じる必要はありません。
ひとりがいいならひとりを選択する自由があってしかるべきです。ASDでなくとも気分じゃなかったら断っていいし、そのことに対して堂々としていましょう。
これに関しては世の中がもっとお一人様が当たり前になっていってほしいなと思います。
他人と目を合わせることが苦手
目を見ながらしゃべることはコミュニケーションの上では大切なことです。
ただ、僕がそうだから分かるのですが、実はこれって真剣に頭の中で考えながら話しているから起こってしまうことなのです。
恥ずかしいとかで自分の意見を言えないのなら別だけど、そのような理由があるならその旨を伝えればある程度、相手も理解してくれることだと思います。
ASDはマルチタスクが苦手です。そのため、”目を見ながら話す”という他の人は当たり前にできることも大変
もちろん、意識ひとつで訓練できるくらいに”目を見ながら話す”ということは機会が多いことだと思います。ですが、仕事をしているときなど、それに気を取られてしまってミスしてしまってもいけないので、なるべくなら配慮を求めたいところです。
マルチタスクのことや「頭の中で考えてしまう」などの表現はある程度伝わる人が多いと思います。
あくまでそっけない態度をとっているわけではないということを相手に分かってもらうことが重要になります。
自分が歩み寄る部分
ここからはASDの2つの特性について解説していこうと思います。
難しい言葉や表現を好んで使う
これはASD側が少し伝え方を考えた方がいい部分かもしれません。
というのは、難しく硬い表現は伝わる人を選んでしまうからです。仕事でも普通に話しているときにも硬い表現を必ず理解できる人ばかりではありません。一度で理解できないと…
- 補足の説明が必要で二度手間
- 気難しい人間だと誤解される
などのデメリットがあります。
上の『配慮して貰える可能性が高いもの』を伝えるときにも大切になってきます。
僕もブログをはじめた頃は、本来の自分の堅苦しい表現に悩んでいました。表現に関しては未だにめちゃくちゃ意識するし、正解がなくて苦労しています。それでも多くの人に見てほしいので、表現や伝わりやすい文字数を勉強中です。
ASDや伝わりづらさに悩んでいる人は、ぜひ僕と一緒に勉強していくつもりで喋るときの言葉について意識してみてください。僕が変わったようにあなたの周りからのイメージや扱いが変わって評価されるし、きっと人生がいい方向に変わっていくでしょう。
決まった順序や道順にこだわる
『自分だけの帰りの道順』や『流行に乗れない』程度ならいいのですが、『自分のやり方を曲げない』『相手に合わせられない』レベルになると、それは相手のために考えるべき特性の部分です。
僕はASDとして絶対的に”これが正しい!”という手段を持っていました。ですが、実際にやってみるとそれが正しくないこともあるし、もし正しかったとしても「他のやり方もある」くらいの余裕がほしいとこ。
自分が持っている絶対的に正しい!は自分の中で裏付けもあるし、世間の「今までやり方はこうだ」について非効率的だと感じることが多いので不満がたまることだと思います。
けれど、あえてその考えを抑えて周りに乗るべきです。ダメだったら自分の絶対的に正しい!を言えるし、周りとの関係も円滑にすみます。
勘違いしてほしくないのは「自分の意志を曲げろ」とか「抑えろ」と言っているのではありません。自分の意見を言うのにも手順が必要ということです。
めんどくさいと思う部分もあるかもしれませんが、その場に関わっているのが自分ひとりではない以上は『あえて一度、周りに合わせる』ことが最善、最速の効率を生むことになるでしょう。
まとめ:孤独は武器になる
どうでしょうか?ASDの”ひとりが好き”というわけではない、ということについてだいぶ共感してもらえたでしょうか?
コミュニケーションについては学校で教えてくれません。そのうえでコミュニケーション障害を持ったASDは社会へ出なければならない。
定型発達の人が学校で自然に身につくコミュニケーションスキルに対してASDはかなりハンデを背負っています。
しかし、上手く周りに馴染めないと悩んでいる人にも朗報です。ひとりの状態は決して不利なことばかりじゃありません。
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QOL向上 - 発達ライフディスカバー
あなたの暮らしのコンシェルジュ
www.asd-ykmr.online
ここにはひとりの状態でお金もかけずにできることを詰め込んでいます。これを読んだ後はむしろひとりの状態は武器になる。そのくらいの内容を詰め込んでいます。
そして、この記事の『自分が歩み寄る部分』について少し難しいと感じた人もいるはず。
そんな人はこちらの記事が人生の変化のいいきっかけになるかもしれません。
僕は食事を変えることで余裕ができて人生がかなり変わりました。やるやらないは別にしてこちらもかなり参考になるのではないかなと思っています。
孤独を感じていたり、うまく人に頼れないという人はこの記事がいい人生に変わるきっかけになってくれることを願っています。